エネルギー政策に係るアンケート調査結果

SOMPOインスティチュート・プラスは、2023年2月に「エネルギー政策に係るアンケート調査」を実施した(株式会社インテージリサーチに委託)。ここでは、本調査結果の概要を紹介する。なお、本調査を踏まえた政策的なインプリケーションについては、Insight Plus 『エネルギー政策への国民理解に関する課題~当社独自アンケート調査に基づく考察~』で検討を加えているので、合わせてご参照いただきたい。

結果概要

当社では、脱炭素・エネルギー政策に関わる国民意識調査を行った。Z世代と呼ばれる若年層の方が、環境に係る知識も豊富で、行動に移していると思われがちではないだろうか。アンケート結果からは、年代が上がるにつれ、環境に係る「知識」「意識」「行動」が高まっていることが明らかになった。原子力政策については、年代が上がるにつれ、否定的な回答であった。
例:「日本政府は、2030年度の温室効果ガス46%削減(2013年度比)、2050年度のカーボンニュートラル(二酸化炭素排出量を実質ゼロにすること)実現という国際公約を掲げている」⇒「聞いたことがある」と答えた割合は20-29歳:52%、60-69歳:88%。
  

わが国が脱炭素に向かっているという方向性については、ある程度の認知が確認できた。
例:「日本政府は、2030年度の温室効果ガス46%削減(2013年度比)、2050年度のカーボンニュートラル(二酸化炭素排出量を実質ゼロにすること)実現という国際公約を掲げている」⇒「聞いたことがある」と答えた割合は75%。
  

また、そのために自身も何らかの行動を起こそうとしている。
例:何らかの省エネに取り組んだ人の割合は78%。
  

一方で、踏み込んだ「内容理解」までには至っていない模様。
例:「日本政府は、2030年度の温室効果ガス46%削減(2013年度比)、2050年度のカーボンニュートラル(二酸化炭素排出量を実質ゼロにすること)実現という国際公約を掲げている」⇒「内容を知っている」と答えた割合は26%。
  

これらの政策について、国民は十分に認知し、内容を理解しているであろうか。賛成や反対など、フェアに国民が意見を挙げるに資する情報が、きちんと行きわたっているだろうか。広報で何らかの工夫が必要なのではないだろうか。
  

本アンケートでは、賛否が割れるであろう政策を取り出した。
例:日本政府は、次世代革新炉の開発・建設に取り組み、原子力を活用する(電源構成に占める原子力の割合を20~22%にする)としています。あなたは、電源構成に占める原子力の割合について、どのように思われますか。⇒「わからない」が33.1%と最も高い。

認知度

エネルギーに係る情報は、日本国民に浸透していないと推定される。例えば、「日本政府は、2030年度の温室効果ガス46%削減(2013年度比)、2050年度のカーボンニュートラル(二酸化炭素排出量を実質ゼロにすること)実現という国際公約を掲げている」という問いに対し、聞いたことがある人は75%だったが、内容まで知っている人は26%に留まった。また、将来的に世論を二分する可能性がある「次世代革新炉の開発・建設に取り組み、原子力を活用する」や、「炭素排出に値付けする「カーボンプライシング」の導入が検討されている」ことを知らない人が過半を占めた。
  

エネルギー政策に関する情報入手ルートは、テレビ(71%)とインターネットサイト、ニュース(52%)が多くを占めている。一方で各施策の認知度を情報入手ルート別にみたとき、「政策を聞いたことはある」層では情報入手ルートによる大きな差はあまり見られないが、さらに「内容を知っていた」層に限ってみると「テレビ」や「インターネットサイト、ニュース」よりも「行政機関HP」や「雑誌」の方が高い。
脱炭素の目標を達成するためには、国民的運動論になる必要がある。政府は、国民的理解を促すために工夫が必要であるし、メディアの取り上げにも課題がある。

脱炭素目標

「温室効果ガスの削減目標46%(2013年度比)」については、「より低い目標値にすべき」・「脱炭素化を進めるべきではない」といった否定的なコメントは2割を下回った(17%)。概ね理解を得られる政策だと考えられる。ただし、「わからない」という回答も34%を占め、ここからも認知度向上の必要性がうかがえる。
政府の節電要請には、多くの国民が協力(全体で74%)。認知度も92%と高かった。脱炭素を肯定している層(47%)は節電要請に応え、脱炭素を否定している層(17%)は節電に協力しない傾向にあった。脱炭素の賛否に対し、「わからない」と答えた層(35%)は、節電要請があることも知らなかったという答えが多かった。

無関心層の存在

「エネルギー政策に限らず、日本政府の政策全般に対してどのように感じていますか。」という問いに、「どちらとも言えない」と答えた層は、エネルギー政策の認知度・節電の協力要請があったこと・省エネの取組・政策への賛否(太陽光パネルなど)・電源構成(再エネ・原子力)・カーボンプライシング、すべてにおいて「分からない」と答える傾向があった。「エネルギー政策に限らず、日本政府の政策全般に対してどのように感じていますか。」という問いに、「どちらとも言えない」と答えた層は、エネルギー政策の認知度・節電の協力要請があったこと・省エネの取組・政策への賛否(太陽光パネルなど)・電源構成(再エネ・原子力)・カーボンプライシング、すべてにおいて「分からない」と答える傾向があった。
⇒一種の「無関心層」の存在がうかがえる。(「どちらとも言えない」と答えた層がすべて「無関心層」とは限らないことに留意)。

主な政策への賛否

脱炭素に係る主な政策(太陽光パネルの設置・再生可能エネルギーの活用・原子力発電の活用)については、「分からない」という回答も一定割合あるものの、概ね賛成との回答が反対の回答を上回っており、政府の方針は一定の支持を得ているものと思われる。
「電気・ガス料金の負担軽減策」に対しては、「賛同する」「どちらかと言えば賛同する」の合計は60.2%であったが、その一方で「どちらとも言えない」は34.3%と3分の1以上、「賛同しない」「どちらかといえば賛同しない」の合計は5.6%となっていた。

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