【Vol.85】ソーシャルメディアが生み出す諸問題

フェロー 隅山 正敏

I.はじめに

SNS の上位概念であるソーシャルメディアは情報受発信の媒体(メディア)を意味する。情報収集の
手段として、また自らの創作物を世に問う手段として使われる一方、様々な問題を引き起こしている。

Ⅱ.ソーシャルメディアの特性

ソーシャルメディアのもたらす問題そのものはマスメディアの時代と変わらないが、問題の規模・影
響度は格段に増している。その背景にソーシャルメディアにあってマスメディアにない特性がある。

Ⅲ.問題となるコンテンツ

コンテンツは内容や使い方により他人の権利や心身の健康を侵害することがある。加害の深刻度等に
より違法コンテンツと有害コンテンツに分かれる。広告も同様である。ソーシャルメディア特有の表現
行為も加害を助長したとみなされることがある。

Ⅳ.発信者の責任

コンテンツが他人の権利等を侵害した場合、その発信者が第一義的な責任(刑事・民事)を負う。刑
事責任追及にあっては「国外犯」の問題が、民事責任追及にあっては「発信者の特定」の問題が横たわ
る。

Ⅴ.運営者の責任

コンテンツが他人の権利等を侵害しても、ソーシャルメディア運営者は基本的に責任を問われない。
しかしソーシャルメディアの影響力が高まるにつれて「情報受発信の場を管理する責任」を求められる。
近時は「子供を守る責任」に焦点が当たっている。

Ⅵ.ソーシャルメディア規制

問題を引き起こす違法コンテンツ・有害コンテンツについて、ソーシャルメディア上の流通を阻止・
排除する法的な枠組みが整備されている。欧州デジタルサービス法、わが国の情報流通プラットフォー
ム対処法である。また、近時とりまとめられた総務省検討会の提言を紹介する。

Ⅶ.おわりに

ソーシャルメディア上を流通するコンテンツが様々な問題を引き起こしている。運営者の「管理責任」
を追及する動きに注目が集まるが、発信者の倫理や受信者のリテラシーなど「情報空間」の関係者の全
てが取り組むことを求められている。

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