【Vol.82】1.GAFAMを巡る諸問題

フェロー 隅山 正敏

Ⅰ.はじめに

米国巨大IT企業GAFAMを巡る諸問題を対消費者(プライバシーと消費者取引)、対取引企業、対競合企業に分けて2010年代と2020年代を対比させながら概観する。

Ⅱ.対消費者(プライバシー)を巡る諸問題

 技術が進歩するとプライバシー侵害を引き起こすデータの範囲が広がる。最先端の技術を注視して保護すべきデータの範囲を見直す必要がある。利用者同意にあっては「同意の有無」から「同意取付け時の十分な説明」に論点が移っている。規制面では、プライバシー分野での競争法の適用やデータポータビリティの法的保障などが議論されている。

Ⅲ.対消費者(消費者取引)を巡る諸問題

電子商取引では商品選択の多様性や手続の利便性が増す一方、判断材料(口コミ)の操作や解約手続の煩雑化など裏腹となる問題が生じている。また、アプリストア独占の弊害(アプリ価格の高止まり)や製品修理制限を通じた買替誘導など、潜在していた消費者の不満が表面化している。

Ⅳ.対取引企業を巡る諸問題

オンラインモールを舞台とした出店者設定の価格の拘束、出店者データの転用、販路制限に関して2010年代に続いて2020年代にも同種の問題が繰り返されている。円滑な立証や迅速な解決を求めて事前規制にシフトする動きが生じている。アプリストア独占の弊害(手数料の高止まり)に対する不満が取引企業の中でも高まっている。

Ⅴ.対競合企業を巡る諸問題

市場支配力を新たな市場への参入に転用する「自社サービスの優遇」が引き続き問題となっており、将来の競争を回避するための「潜在的競合企業の買収」に対して各国当局が取組みを強化している。既に確立している「市場の独占」にどう立ち向かうかが残課題となっている。

VI.おわりに

今後の見通しとして①新たな問題はプライバシー分野で起きる、②消費者取引・事業者取引ともに迅速な解決を図る事前規制へのシフトが進む、③「市場の独占」への対処が残課題であり「弊害事例」を積み重ねる必要があるという3点を指摘することができる。

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