【Vol.74】4.英国で取組みが進む社会的処方
I.はじめに
英国では、患者の健康やウェルビーイングの向上などを目的に、医学的処方に加えて、患者を地域の活動やサービス等につなげる社会的処方(social prescribing)と呼ばれる取組みを行うかかりつけ医が増えてきている。本稿では、英国で普及が進む社会的処方とはどのようなものか事例を含めて概観する。
II.英国の医療保障制度の概要
英国の医療保障制度の特徴の一つが、かかりつけ医としてのGP(General Practitioner:一般家庭医)の存在である。また、GPを構成員とする地域団体のCCGs(Clinical commissioning groups)は、予算の管理や病院に医療サービスを委託するなどの役割を担い、地域医療を運営している。
III.社会的処方について
地域により様々な社会的処方のスキームが存在するが、多くの場合、リンクワーカー(Link Worker)と呼ばれる人材が介在する。GPが必要に応じて患者をリンクワーカーに紹介し、リンクワーカーが当該患者に地域の活動やサービスを紹介する。GPの4人に1人が社会的処方を一般的に行っているとされる。
IV.社会的処方の事例
主として社会的孤立に対して、ボランティアを活用して取り組む社会的処方と、特定の慢性的な症状を抱える人々を対象に、ソーシャル・インパクト・ボンドのスキームを活用して取り組む社会的処方プロジェクトの2つの事例を取り上げてその取組み内容を概観する。
V.おわりに
社会的処方について、人々が抱える社会的課題を解決する手段の1つとしてみた場合、その仕組が注目される。社会的課題を解決するためには、地域の事情および地域資源の情報に通ずるリンクワーカーのような存在が不可欠であると思われる。
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