【Vol.74】3.グローバルな保険業の状況とロンドンマーケットの地位を維持する取組み

上席研究員 海老﨑 美由紀

I.はじめに

本稿では、損害保険の老舗としての伝統を誇り、特殊なリスクの保険引受けにおいて国際的に特別な地位にあるロンドンマーケットとそのプレーヤーが、環境変化によりどのような課題を抱え、どのようにその地位を維持していこうとしているのかを探る。

II.ロンドンマーケットにおける特殊なリスクの引受け

ロンドンマーケットは世界中から特殊なリスクが集まる特異なマーケットであり、複数の保険者が少しずつリスクをシェアするしくみを使い特殊なリスクを引き受けている。収益性の高い特殊なリスクに対する資本提供者がロンドンには集まっており、特殊なリスクを専門とするアンダーライターがリスクを見極め、ブローカーが仲介の役割を担っている。

III.グローバルな保険業の状況

グローバルな保険業の競争環境の変化の中で、ロンドンマーケットの競争力が徐々に低下していると言われている。ロンドンマーケットは新興国において強いポジションを築けておらず、再保険においては新たなハブが台頭しシェアを奪われつつある。

IV.ロンドンマーケットの地位を維持する取組み

ロンドンマーケットの地位を支える主要な要素はアンダーライターやブローカーなどの専門性であり、これを強化していくこと、保険流通のネットワークを強化すること、オペレーションの効率性を高めてコストを削減することが求められている。特に効率性の向上については喫緊の課題となっている。

V.まとめ

グローバルな保険業の環境が変化していく中で、長年国際的な特殊なリスクの保険引受けの中心として特別な地位を築いてきたロンドンマーケットも対応を求められ、オペレーション全体の効率を見直す動きが広がっている。ロンドンマーケット全体の改革は、関係者が多岐多様であるがために難しい取り組みであり、今後の進展を見守りたい。

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