Q5.コロナ禍におけるテレワークの心身への影響は?

 
Q. コロナ禍におけるテレワークの心身への影響は?
A. テレワークは職場における情報の共有化や仕事のコントロール度に良い影響を与えた一方で、

  テレワーク日数が増加した部署では、前年度比で仕事の量的負担感が増加した部署と減少した部署に分かれた
 
 

 
これまでの分析では対象企業の営業拠点に焦点を当てましたが、ここでは企画管理部門について分析を行います。
 
対象企業では2020年のコロナ禍においてテレワークを推奨しました。テレワークに適した部門・テレワークが難しい部門があるなかで、企画管理部門ではテレワークが比較的多く行われました。
 
2020年度のテレワークが従業員の意識に与えた影響を調査したところ、テレワーク日数が前年度よりも多くなるにつれ、「職場の目標を全員で共有している」「情報が共有され公平に活躍の機会が与えられている」(従業員アンケート)と感じる人が前年度と比較して多くなる傾向がみられました (図5-1、図5-2 )。テレワークではメンバー間のコミュニケーションの維持、方法が課題として挙げられますが、対象企業ではコロナ禍のテレワーク増加に対応して積極的なコミュニケーション促進策が取られたことがうかがえます。コミュニケーションに対するメンバーの意識を高め、工夫すればテレワークでもコミュニケーションを活性化させ、情報の共有は可能と言えるのではないでしょうか。また、テレワーク日数と「仕事のコントロール度」(ストレスチェックのサブカテゴリーで職場の仕事の方針に自分の意見を反映できたり、自分のペースで仕事を行うことができる程度 )との関係も確認できました。前年度の仕事のコントロール度が低かった部署のうち、テレワーク日数の増加が大きい部署では、仕事のコントロール度が前年度よりも上昇しました。
 

 
一方、急速にテレワークが広がった2020年度は、テレワーク日数が増加した部署では部署間の仕事の量的負担感のばらつきが大きくなりました。図5 -3ではテレワーク日数が増加するにつれて「心理的な仕事の量的負担感」(ストレスチェックのサブカテゴリ―)が減少した部署と増加した部署に分かれる様子が読み取れます。
 
図5 -4は前年度と比較して、テレワーク日数の変化が大きい部署と小さい部署のプレゼンティーズムの変化幅を示したものです。テレワーク日数の変化が大きい部署のうち「心理的な仕事の量的負担感」が増加した34部署ではプレゼンティーズムは前年度よりも0.43パーセントポイント悪化し、減少した16部署ではプレゼンティーズムは0.5パーセントポイント改善しています(赤い矢印)。これに対してテレワーク日数の変化が小さい部署ではプレゼンティーズムの変化も小さく、「心理的な仕事の量的負担感」が増加した33部署では0.16パーセントポイント悪化、減少した17部署で0.24パーセントポイント改善になりました(青い矢印)
 

 
コロナ禍における急速なテレワークの進展は、情報の共有化などに良い影響もありましたが仕事の量的負担感を増加させるマイナス面もありました。テレワークの心身への影響を改善するには、仕事の量的負担感の観点からテレワークに適した業務手順への見直しなどが重要と思われます。
 

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