【Vol.80】6.宇宙ビジネスとビッグデータ、損害保険の概況
Ⅰ.はじめに
宇宙ビジネスが注目を集めている。消費者のイメージも近くなっており、事業としての実態も伴ってきている。事業は大きく分けると、ハード面が中心のロケットや人工衛星の製造・打ち上げ等の機器関連とソフト・サービス中心の人工衛星等の利活用関連となり、近年は後者の人工衛星が注目を集め、ハードからソフト・サービスに移行しつつあると言える。
Ⅱ.注目を集める背景と市場概況
宇宙産業が注目を集め、拡大してきた背景には、技術革新とそれによるロケットの小型化・打ち上げの低コスト化、さらには衛星コンステレーションの活用、データ利活用の可能性が挙げられる。中でも低コスト化や衛星コンステレーションについては、SpaceXが非常に大きな役割を果たしている。
Ⅲ.主な事業者・プレイヤー
宇宙ビジネスは衛星通信が注目を集めているが、大きくはデータ・輸送・衛星インフラ・軌道上サービス・宇宙旅行・探査と資源開発の六つに分類される。本章では、主な事業者を紹介する。一方で課題もある。次々と宇宙ベンチャーが生まれ競争が激化しており、また、ビジネスとしてのケースが限られている。
Ⅳ.宇宙ビジネスと損害保険
宇宙保険の2021年の収入保険料は約4.5億ドルであり、近年は潤沢な引受キャパシティの影響から、レートは減少しており、市場も減少傾向にある。2018年・2019年と大規模な事故が頻発し、保険会社の撤退やエクスポージャーの縮小が行われ、保険手配が困難になることが想定されたが、以降の損害率が良好であることから、保険会社にとっては厳しい競争環境にある。
Ⅴ.おわりに
テクノロジーの進化に伴い、宇宙ビジネスが間近に現実的になってきている。クラウドやAIとの親和性も高く、デジタルの影響が宇宙ビジネスにも現れている。投資も集まっており、非常に脚光を浴びているが、個別の企業やサービスを見ると、利用ユーザーの企業は一部に限られている。地球の観測データの付加価値が増すこと、ユーザー企業が増え、ビジネスとしての多様性が高まることが期待される。
保険に関しては、衛星コンステレーション等課題は山積しているが、宇宙ビジネスが今後広がりを見せ、より成熟してくるのに合わせ、業界・保険会社もキャッチアップしていくことが求められる。
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